やぶにらみ見聞録


堀部先生
根本先生  申し訳ありません




去る平成17年5月、京都武徳殿の南テントでの竹刀の打撃力を測定している最中の出来事です。



「この甲手布団の上をこの竹刀で打ち込んでください。」
「お二方とも剣道経験者ですか?」

かの高名な両先生に向かってこう言ってしまいました。

先生方は何も言わず、ただにこやかに「ここに向かって打つの?」

現れた波形に思わずびっくり。
まるで男子高段者と変わらず、思わず絶句。

後ほど判明。 かの有名な先生方とは存じ上げず大変な失礼、
くれぐれもお詫び申し上げます。


それにしても選手の「技の切れ」がたちどころに波形に現れ、
大変興味深い事実に、今後の防具製造に大いに参考になりました。

高段者の波形は瞬時にピ−ク(最大打撃値)に達するも時間が短く、
対して中級者になると最大打撃値は小さいものの時間が長い」
といった傾向がグラフに現れ、

また「女性だから力がないから」といった安易な対応も間違いで、
高段者ほどピ−クが差がない事実も計測でき、
このような特徴に対応した今後の防具作りに大いに貴重な資料が得られました。

 
        東 8段の波形                                           5段の先生の波形


右側方向が衝撃の経過時間で、数字の5が5ミリ秒を表しています。
上下方向が衝撃値で1vが6kgです。

緋色の部分が痛みを感じる部分でその面積を合計して力積値と言います。


上記表、左側がかの有名な東良美8段の波形です。
1ミリ秒の時間で最大値に到達し、2.5ミリ秒で終了しています。
一瞬の「技の切れ」が窺えます。

対して右が5段の先生で、竹刀が当たってから最大値に至るまで東8段の倍、
約2ミリ秒ほどかかり、その衝撃時間が約5ミリ秒まで続いています。


双方同じ竹刀を使用し、同一条件で計測したものです。

大変失礼ながら東8段と5段の先生との波形の相違で、技の切れとでも申しましょうか、
竹刀の打ち込みの様子がよく判ると思います。



このグラフから教えられる重要なことは、
「初心者は力がないから打たれてもそれほど痛くない」と言う事ではなく、
痛さの大きさは小さいながらも痛さを感じる時間がだらだらと長い事。

対して高段者の技は「一瞬のきれ」があり、衝撃値が大きいもの相手に与える時間が短いと言う事。


このことは使用防具を考えるのに大いに参考になり、
双方に時間差などはあっても総合的に力積値(痛さを感じる面積)に大差なく、
高段者用だからといって芯材を薄くしても良いものではなく、
布団厚よりも瞬間的な大きな衝撃力に対する考慮が必要と言う事。
(ピンポイントで受ける衝撃を、大きさな面積で受ける工夫。)

初心者用には布団厚と長時間にわたる対衝撃力が求められる。

と言った防具作りの製作上の大きなポイントが目でみられた事です。



誠に大きな収穫のあった京都大会でした。
ご協力いただきました剣士の先生方に感謝いたします。
そして、両先生、申し訳ありませんでした。


      に戻る            やぶにらみ見聞録に戻る