やぶにらみ見聞録


 軽量防具の行き先は?      

 最近の剣道具はまず「軽い剣道具」、「動きやすい」」の宣伝が見受けられます。  
薄くて柔らかくて**g軽く、すぐ馴染むと宣伝文が踊ります。 あたかも軽量防具の真っ盛り。
  一部有名選手が試合に使用し、「使い易い」という理由でメ−カ−が便乗販売宣伝している物です。

 しかしその中にどこにも軽量ながら「対衝撃力に優れています」とは書いてありません。

 竹刀の衝撃に対して防具を軽くした分、どのような対策がなされているのでしょうか?
 従来の防具に比べ、どれほど対衝撃力が優れているのでしょうか?  どこにも書いてありません。

 対衝撃力の具体的数値を明記して欲しく思います。 
「痛くて手がしびれるから直してほしい」、「何とか使えるようにしてほしい」 との修理依頼が多くあり、 拝見したところあまりの芯材の少なさ、布団の薄さに、芯材の補充以外に対処方法がないとお答えしましたが、「軽量防具」と言うことで購入したので重量の増加は−−−」と納得されず、それ以外には不可能、とやむなく修理を逡巡したところ、その剣士からお叱りを受けました。

その後も「拳を痛めた」、「手がしびれる」例が後を絶たず、
あまりの痛さに剣道をやめる者も出る始末。
 中には整形外科医の先生が「剣道をやめなさい」と言われたとの声に至ると−−−−−−。

 平成10年、全日本剣道連盟から「剣道具規格」が制定されましたが、その中に各防具の緩衝試験の実施と数値の厳守が記載されていますが、守るどころか話題にもあがりません。 
製品安全協会「SGマ−ク」からも制定されているはずですが。
 
平成16年3月、全剣連、科学委員会においても「軽量防具は危険」として判断され、その使用や製造が禁止されたのにもかかわらず最近では全く持って無視されている現状です。一部のメ−カ−や販売店が未だに公然と広告宣伝し、販売しています。
また、平成14年度の武道学会でも、百鬼先生が軽量防具は対衝撃性に問題がある、とはっきりと否定されておられます。


いったい業者の良識はどこへ行ったのでしょう?
剣道人口の減少をどう考えるのでしょう?




 
この中には「剣道具の緩衝試験」の実施が謳われており、面においての試験値は1800ニュ−トン以下、
甲手頭は500ニュ−トン以下など明確に示されています。

 
果たしてメ−カ−の何社がこの事実を理解して実施している事か?

 実際の数値を出してみたい物です。
 
 
 右側方向が衝撃の経過時間で、数字の5が5ミリ秒を表しています。  上下方向が衝撃値で1vが6kgです。
緋色の部分が痛みを感じる部分でその面積を合計して力積値と言います。

左側がかの有名な東良美8段の波形です。1ミリ秒の時間で最大値に到達し、2.5ミリ秒で終了しています。
一瞬の「技の切れ」が窺えます。

対して右が5段の先生で、竹刀が当たってから最大値に至るまで東8段の倍、約2ミリ秒ほどかかり、その衝撃時間が約5ミリ秒まで続いています。

双方同じ竹刀を使用し、同一条件で3日間計測した物の中から判りやすいものを掲載しました。

初心者ほど長い時間痛みを感じることがよくわかると思います。
結果的にメ−カ−はその対策が要求されるはずで、実行する義務があるはずです。