これなんだ本当か見聞録


いせは衝撃緩衝ではない?


「型?平面展開図?」から         ここでは「いせ」について書いてあります。

 「いせ」についても衝撃緩衝と絡めて説明することもあるようですが、この点は今ひとつ合点が行きません。
 衝撃緩衝材を入れるための空間をつくることで、「いせ」自体がまず衝撃緩衝ではないということです
 「空気」をいれてもこの方法だけでできた空間はつぶれやすいものですから


 「いせ」とは10cmの基礎に15cmの布を貼り付けると想像下さい。 5cm分膨らみますね。
 防具には甲手や面以外にすべての防具製造過程に「いせ」があります。 (他に引っ張り製法もあります。)
 いつも乍ら一つの文言ですべて防具製造過程で同じ事項と判断していますが、「いせ」には多くの目的と意味とがあります。
 
 この項目も防具製造時の「いせ」をする意味を十分理解できずに論評しています。
 甲手の「いせ」は鹿毛を入れる空間を作るための物で、いせで緩衝性があるとは誰しも言っていません。


 今回は甲手の「いせ」についての論評記載と思われますから、今回は甲手を中心に。

 当会塚本会員の作業場   右側にいせ終了時の甲革と生子

甲手頭製造時は甲革(一番外側の革(奴は刺し地)と、いせ台と言われる甲肌に当たる部分の布地に甲革サイズを合わせます。
 甲革側が大きいのでそこに芯材が入る空間が生まれます。その中に芯材の鹿毛や代用芯材などを入れ、緩衝材とします。
 空気の入る空間を求めた仕事ではありません。

 鹿毛などの芯材を入れる空間を作る目的ですがなぜ合点がいかないのですか?  その空間を作るのが何故駄目なのですか?
 
 甲手には甲手頭と甲手布団を付ける際にも「いせ」があります。
 これは衝撃緩衝の意味で無く、甲手を着想する際、手の出し入れをスムースにする事と手の動きと甲手の動きを一体化する為の意味もあり、手の甲側に沿うように布団付けを行います。
 


 仮にいせ台と甲革を同サイズで端だけ綴じて空間を作り、その中に鹿毛を入れた事を想像してください。

 どう膨らむか? 手を入れられる空間ができるか? 竹刀を握るように内側に湾曲するか? 手の内すら付けられませんがーーーー
 誰でも判りますね。  
 竹刀が握れるように湾曲させるために大きい甲革にいせ込みをしてサイズ合わせするのです
 湾曲させる為の助けを飾りが果たしていますがそれは別件で又。



 甲手のみで無く面にも胴にもすべての工程に大なり小なりの「いせ」が存在します。そして部品取り付け工程時も。
   まず面。 

 百鬼先生は面のいせ「」について重要事項として専門的に研究、発表されています。  

その範疇で言うなら百鬼先生の研究は合点がいかないのですか?     もう一つ言うなら「いせ」は緩衝材を入れる空間を作る為だけでは無いと言うこと。 

 京都大会「面作りの実演」会場では、全剣連福本先生に会場までお運びいただき仕立て方法から面布団芯材の構成に至るまで出来上がり面をカットして見ていただきました。

     
 



 たとえば長さ20cm厚み1cmの布団を想定してください。 20cm幅の同じ物を15cmに縮めたら厚みは25%増し相当になるはず、
 単純計算だから正確ではありませんがその分衝撃緩衝性は増えませんか? 
 それでも無意味ですか? 合点がいきませんか?
 
 胴(胸)製造時も垂れ製造時も行程の中で「いせ」が存在します。

 「いせ」のみで無く逆に引っ張り製法もあり、製造過程については一概に結論付けはできないはずです。


それから型紙に話が展開していますが、

ある剣道具師さんから、修行の段階で「型紙」をなぞったら、親方にぶん殴られたなんて話も聞いたことがあります。
それほど、大切に扱われ、道具の根幹となるのに、この使い手・ユーザー・プレーヤーが無頓着でいるのも事実です、、、
あ、売り手も無頓着な方もいます

<極論その1>どんな選手でもある程度あわせて作られた道具を自分で合わせている状況なんですよね
<極論その2>「型」がよければ、剛体でつくっても動ける道具が できるんではないかと、、、いせることができないのでムリか?!


 またまた職人技術を冒涜して! 

 最後は「いせ」から型紙論になっていますが、型紙で殴られた等は昔の夢物語の世界。
 型紙の基本をじっくりと身につけたら、親方に許可を得てもなぞる必要はありません。

 型紙は職人が作る物です。 が 万能ではありません
 いせ込んだり引っ張ったりして型紙には現れない、剣士の動きに合わせた防具を作るのが職人の仕事です。