やぶにらみ見聞録

   面を選ぶ P-2  (面のいせ混み)  

  平成22年 5月 3,4,5日  京都武道館にて     初心者用こそ安全防具を


「天(最上部)イセ込みの無い面がほしい」
と、若い剣士の声が多く聞かれます。

面の構造や働きにおいて「イセ込み」の重要性を知らず、ただ単に観てくれだけでこう言った物が「良い防具」との間違った流行に、全剣連科学委員会百鬼先生が、より専門的に面の「イセ」が衝撃緩衝性にどのように影響があるか!について実験をしておられます。

百鬼先生はじめ、全剣連科学委員会の諸先生のご指導の下、来るべき学校教育での武道正課を正面に据え、我が業界もその重要テ−マ「安全防具」に取り組みを始め、今回先生が実験された通りの「面仕立て実演」を企画しました。

「初心者用こそ最重要」と「後継者育成」のテ−マも併せ、今回は全日本武道具協同組合と合同で、若い面組み立て技術者が中心になって実演をしました。

以下画像は百鬼先生からお預かりし、ご指導頂いた物です。

 イセの無い面  (中央部の面布団の盛り上がりが少ない)  イセのある面  (中央部の面布団の盛り上がりが大きい)



 実験装置の全体


  面頭部を縦割りした詳細  「いせ込み」が判る
 
 昨今の多くの剣道具は外国で製作され、品質が粗悪化している状態を憂慮しておられる先生方が多くおられます。
 剣道具は大量消費、大量生産品ではありません。 もっと中身のある「防具」そして安全第一でなければなりません。  
 
 今後は面のみでなく防具全体にまでそうした緩衝性の研究を広げられると伺っていますが、我々も、このように習ったからこうした作り方、昔からこうした作り方をしているからこれが良い防具、と言った抽象的な曖昧な製作方法でなく、科学的に具体的数値を出して、衝撃に対しては?動きに対しては?、どう対応すべきか!を今後ご指導頂き、職人の知恵と昔からの伝統を損なうことなく、安全防具への取り組みを計ってゆきたいと考えています。
 




 実演会場で出来上がった面の上部をカットして中の芯材構成と
 面のいせ込み状況を確認する全日本剣道連盟 「福本先生」
 全日本武道具協同組合 菱山理事長と「面仕組み」実演中の
 若き技術者。