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これなんだ本当か見聞録 


奴(やっこ):ヲタクっぷ


 このブログでは甲手の「奴」について書いています。 https://kendomix.com/610/archives/2796.html

 まず奴についての内容と続いてベ−ス素材の「道着・道衣の話」にて刺し子生地についての説明があり、
 
 面の布団に刺し子の生地、つまり織地を使った布団の生地は、面布団の動きは、布団の長い方向より短い方向(縦より横)に道具の動きが多いことから、柔道衣と同様な理由で、この方向で使われているといえましょう、、

https://kendomix.com/610/archives/55.html 

 これは全く違います。

  面仕組みは顎付き面金と各部品(頬輪、火打ち、2重顎)面布団とをつなぐ重要工程です。
 その面布団と面金のとじ口には大きな負担がかかり、生地のみの場合はこの生地部分が破損します。
 その生地破損から面自体を守るため綴じ部分の生地に刺しを施し、布団とのつなぎ目(綴じ口)を補強しているのです。
 その為刺し子糸を必ず面縁革と布団とを絡めてとじる必要があり、その為の刺し子生地です。   
  面仕立て綴じ画像から刺し子生地の刺し子糸の働きを見て下さい 

 
 布をいろいろと工夫をして、刺し子(刺地・織地)をつくりだし、この編む作業は、その当時、刺し子などは丁稚の手作業ともいわれていたようです。   ミシンなどの機械がなかったので、手でやるしかなかったんです。

 ミシンで刺し子を作れるわけはありません  出来る物なら見せて下さい。
 又「編むのではなく刺子糸を生地に刺し込む事で、特に雪国では女性が雪で外出不能の際屋内で手作業で行っていました。 

 これは用途に応じて厚い物(剣道着等)から生地の薄い物(防具用の刺し子地)まで、生地に応じて刺し目を揃えたり、
使用糸を変えたり、二重生地に刺したり との高い技術と熟練が要求されます。

 丁稚の手作業などで対応できる代物ではなく、刺し子技術者に対し失礼です。



 ミシンがないことでその昔は、布の端の処理ができず、
織地だけでつくられている小手は見たことがないことからも、かなり有力な推測だと自負しています

 布端の処理はミシンの無い時代でも対策をして作るのが当たり前で、論外です。 
 「安政5年の防具」や「ベルギ−で発見された防具」でも、甲手のみでなく防具すべての部分に対策が施してあり、材質迄変化させています。  
甲手布団木綿生地に対し頭部分は麻で作ったり、厚い打ち込み布で作ったりしてあります。     

 ベルギ−防具、甲手    これを見て下さい。


その木綿についてこんな事が書いてあります。

極上のコットンが存在するというのです「シーアイランドコットン」というものでではないかと思います。
普通の木綿より、一本一本の綿糸がながいものらしく、それで生地をつくると、、、シルクのような光沢と滑らかさをもち、シルクにはない吸湿性と強さをもった物になるようです!!!
これで作った剣道着は、やわらかくごわつかず、胴紐による肩のスレにも非常につよいと言われています。

この糸で剣道着など作った事は聞いた事がありません

 
      二重の手刺し剣道着。 

         左糸は剣道具刺し地用糸     20/4
         右糸は剣道着用糸         10/4
         
    用途別に使用する糸の太さの違いがわかります。

 
   シ−アイランド綿(海南綿)で剣道着を−−−と紡績関係者に聞いたら「 冗談もいい加減にしてくれ、10番4本なんてそこらの紡績でもお釣りが!」と 塩をまかれる様な剣幕でした。

 技術者を怒らせたその理由がわかりますか?
 
 
 左から剣道着用刺し子糸、次に刺し地用刺し子糸、
 次の白糸はシ−アイランド綿の100番双糸、
 次の糸が紺反生地の横糸30番双糸


     (上画像の糸部分を拡大した物)。
 右横の紺反糸(30/2)と太さを比べて下さい。
 上の糸は100番手の双糸ですがシーアイランド綿では更に細く120番手迄作ります。

 海南綿で剣道着など作った事はありません。
 又そうまでして剣道着具に使用する理由がありません

革に衝撃緩衝能力があるのは事実でしょう。  織地の小手と革の小手をくらべたら、はるかに織地の小手のほうがイタいことからもわかることと思います。
 いまの奴小手の革の貼り方は、アタマの周辺のヘリの部分に貼るのはアタリマエとしても、拳の部分については機能としてまったく不要なところに革を無駄につかって使っているように思えてしかたありません
。   奴の小手で革を衝撃緩衝に使う意味になるだろうなと切に思うわけで、、、この業界さんへのお願いなんですよ。


 衝撃吸収は鹿毛の役目であり、奴甲手の革に衝撃吸収性を担わせてはいませんし、考えてもいません。
 拳部分(親指と人差し指の渡り部分)に革を張るのは、渡り部分の幅の狭さによる毛詰め量の多さと加重負担への対応、そして刺し地生地の左右方向へのふれ調整の意味もあります。
 
 縁革に沿った甲部分は、すべて革が当ててあるのが奴甲手です。  
 激しい稽古でも刺し子生地が端部分(縁革部分)からほつれてこないように!との理由です。
 
 皆そのように多方面にわたり考慮して製作しています

この理論的なアプローチ、  本来は、小指・薬指の指先、親指の外側に革を当ててもらう方がいいんじゃないかということ、、、  お願いしてみました。

現代版というか、本質追究の奴小手、今の革あての逆バージョンの作成、、、

結果的に、まぁ自己責任ということで、また自分でデザイナーしちゃいました、はい(笑)
できてみないとわからないところもあるんですけど、そこそこイケると思いますよ!!!

  そもそも奴(やっこ)なるスタイルは今の時代なくなってもいいかもしれないんです、、、

 あなたのデザインで奴甲手を作ってみましょうか?
 あなたは指先幅と手のひら幅が同じサイズですか?
 
 甲手専門職人の生活はどうするのか? やめろという事か?
 死んでもいいのか?  と怒りの声が!。
 
    皆様どう思われますか?