第12回世界剣道選手権大会
 2003. Jul. 3−6          イギリス GLASGOWにて



  エリザベス女王の光臨を仰ぎ、大盛況のうち無事終了した「世界剣道選手権大会」出場選手団の剣道具のメンテナスを、今回も全日本武道具連合会から依頼され、「職人会」メンバ−が担当いたしました。
 
 初日、我々が会場に到着時にはすでに修理依頼品が持ち込まれており、以後終了時まで延々と依頼選手が続き、いかに外国人選手が防具のメンテに苦労されておられるかが伺われました。
 
 前回同様大変な日々でしたが、多くの選手に喜んで頂いたのと、
イギリス剣道連盟会長始め、各国剣道連盟会長から感謝されました。

 又、全武連会長始め、多くの資材提供頂きました全武連会員、および協力頂きましたイギリス剣道連盟の役員の皆様に感謝申し上げます。
 

今回も事故もなく成功裏に「第12回世界剣道選手権大会」が終了いたしました事を喜ばしく思います。



















    世界大会参戦記

 今回は静岡の古武道の勝瀬先生、内田先生、そして全武連菱山会長と成田で待ち合わせ。  (両先生、ただ者ではない事、後程判明、驚愕の至り)
 「全剣連、富田先生、女性役員の岡部さんのお見送りを受けて総勢7名、ブリッテイッシュ、エア−で一路イギリスへ。
 
 長い滑走路を目一杯使ってようやく重そうに離陸。
 水沼を足ひれをばたばたさせてぶざまに飛び出す水鳥を思い出し、やれやれやっと上がったか。 
 それにしてもこれから12時間、1万km余を無給油、無休息で、エンジンや機械類が良く壊れない物だ、と変なところで感心。

 嫌になるほどの長時間の機上。
 退屈で外を見ても何も見えず、前のテレビにウラル山脈の文字。
 モスクワを下にみて、しばらくしてスカンジナビア半島。
 「あ−田中さんのノ−ベル賞」と変なところで思い出し、ヘルシンキ、ストックホルムを通過。 
 コペンハ−ゲン、アムステルダム、目前画面に走る旧知の地名。
 あきらめてどうにでも為れと思う頃、やっとロンドンに到着。

 広いロンドンの空港に感心しつつバスで国内線乗り場に移動。
 入国審査官に[Good Afternoon]と愛想を言ってパスポ−トを出すも、「ハ−、ロ−」一言。   ん、良く英語が聞き取れず、聞き直してやっと「How Long」と判り、自分で悟る語学力の無さ。 
 遠く離れたイギリス国内線乗り場に訪ね訪ねて到着し、ほっと一息。
 注意して確認して買ったミネラルウオ−タ−が炭酸入りでがっくり。
 「ノン ガス」と言わなければいけないと判ったのも後の祭り。
 「ま いいか、後学のため味見をしよう。」


Glasgow到着時間が午後8時でもこの明るさ。
未経験の白夜に近い感覚になんと無い戸惑いを。


 夜9時半、感覚的には夕方の4時といった外の明るさの中で、厚かましくも意気投合した勝瀬先生、内田先生と安着を祝って最初の乾杯と遅い食事。
「ん−、ビ−ルは美味しいな」

 32時間という長い一日もようやく終わり、
 全員何となく疲れて白夜もものかわ、そのままダウン。
 
 7月3日、早起きして近所を散歩し、おおよその町並みを覚えた積もりで探検済みの会場を目指し、地図も持たず全員徒歩で会場設営に。
 
 アメリカ選手に教えられた道を行ったら迷ってしまい、通りすがりの親切なインド人に不慣れな英語を駆使して近所まで案内してもらい、ケルビンホ−ル美術館を大回りしてやっと会場へ。


 
 今朝歩いた道を間違えるなんて。
 やっぱり年か! 3歩けばもう記憶外。


 ちなみにこのケルビンホ−ル美術館は7月1日から2年間閉館との由。
 さすが柔道は世界に普及しているだけあって、畳は此処でも在庫豊富で山積。
 明るさを確認し、全武連の幟りを設置し、畳を敷いて場所の設営終わり。
 イギリス係員に案内表示の張り紙をしてもらい、本日の準備はこれまで。

 すべての準備が整い、全武連 菱山会長を中心に全員で出陣式。

 少し余った時間で上記ケルビンホ−ルの美術館を見学!と思っていた目論見が見事はずれ、6月30日で閉館とは、心掛けの悪さに反省。
 

 7月4日 いよいよ開会。
 入り口で厳重なボデイチェックを受け会場へ。
 この時何ら不思議に思わずイギリスはこんなものかと。
 後程エリザベス女王がお越しに為られた事を知り、あのボデイチェックが納得。

 メンテ会場に座る以前にもう修理依頼の防具が数点置いてあり、我々到着するやいなや修理依頼防具持参の各国選手の出足の速い事速い事。
 
 顔見知りのメキシコの会長も早速甲手持参。
 ん−ん、こりゃひどい。
 思わずぶつぶつ。
開会式が始まるも即全員戦闘態勢でフルパワ−。
耳だけダンボでバグパイプの開会式の音を聞く。

以後、見学どころか食事もトイレも息つく暇無し。
見るに見かねてイギリスの役員が運んでくれた昼食をその場で、が午後3時と言ったところか。
 
「女王陛下が来場された」と聞き、腰を浮かせるも目の前の防具に「うん」と唸って−−−−。

 イギリス役員の「一生の中で女王陛下を遠目でも拝見する事が無いのだから是非とも」との言葉に甘えて、生で、遠目でお目に掛かるも良く判らず、でも感激。

この様に身近に気さくにお出ましに為られるとは!

女王陛下を中心に右はカナダ選手、(うらやましい)


いつお越しに為られたか時間は不明。
全員それほど余裕無し。
矢張り出てきた危険面。
マカオの選手で、指で押しただけで顎が折れそう。
さすがにすぐには手が出ず、しばし−−−−。

夕方まで他の仕事をこなしながらの思案六法。
顎全体を黒桟革で包み、裏で止め、表から指し込み。
針が通らず、それでも力ずくで−−−−。 針が指ぬきを貫通。
痛くとも素知らぬ顔。
此処までくると意地でも、意地でも。


とりあえず当面の安全を確保し
選手によく説明して、帰国後完璧なる解体修理依頼。

でも修理をするかどうかは疑問。
  修理も多忙を極め、全武連会長迄かり出されてしまい、重要修理要員。
(左写真の右側は修理作業中の菱山会長。)

オランダのコ−チもにわか職人で弟子入り。
彼で出来る事はすかさず手伝ってもらう。
ハンガリ−の選手も同様我が弟子グル−プ。
(最左写真中央はハンガリ−の選手) 

底の抜けた竹刀袋や、負いバンド止め金具部分の生地が破れた道具袋も持ち込まれ。 はたまた薙刀甲手までも−−。

道具袋の一番力の掛かる部分なのに裏打ち補強も無し。 このままでは剣道具を持って帰れない。

今回は全般に粗悪仕立てが目に付き、知らずに買った選手が可愛そう。
今日で最終。  気合いを入れて作業場へ。

決勝前の一時、お近づきになれた勝瀬先生、内田先生の演技を全員で拝見。
背筋に鳥肌が立つ衝撃的な演技。

自分の未熟な経験から言えば、違う場所で、しかも外国での演技ならば普段の6割くらいしか力が発揮できず、こんなはずではと思うのが普通なのに。
先生は練習されていたともお見受けせず、ぶっつけ本番で何という−−−−。

ただ者ではない
もし手元が5cm狂ったら、手元が強く力が入ったら−−−。
と思うと−−−−。

これほどの緊張の中でどの様に集中できるのか、教えを請いたい。
それが修行の差か。  自分の未熟さに反省。

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閉会式寸前に1ヶの間違いもなく修理品受け渡し無事終了。
今大会期間中も「無事故で良かった良かった」と全員で打ち上げ。

演技後、緊張のほぐれた勝瀬先生、内田先生                   
サヨナラパ−テイ−では、出場選手の顔つきが穏やかで違った顔になる。
我々は上記勝瀬先生、内田先生とそのお弟子さん達とご一緒させて頂く。
身内扱いで感激。

新たに弟子入りを許した?当方の弟子、オランダのコ−チは遙か彼方にスキンヘッドの光。
遠くからお互い目を合わせて乾杯、乾杯。

そこにキルト姿のスコットランドの制服を来たイギリス役員登場。
全く違った雰囲気で、彼に圧倒されるもにこやかに握手と挨拶。
彼と私、背の高さは違っても手の大きさだけは同じで感心される。
彼には大会期間中大変お世話になり、厚かましく私だけ記念撮影。

いつもながら外国人選手団の礼儀正しさと主催国役員の親切さに乾杯



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